“RKU人”をつくる食

流通経済大学の教職員や学生・アスリートの
食生活、食エピソードをお伝えします。

“RKU人”をつくる食

エアロビック競技元世界チャンピオンの「食」~諏訪部和也先生へのインタビュー~ 2022.11.28

学生時代にエアロビック競技の世界大会で優勝された経験をお持ちの諏訪部和也先生です。


現在は、本学で体つくり運動や測定評価理論実習のご担当をされる先生に学生2名が「食」に関わるインタビューを行いました。

現在スポーツ神経科学と測定評価学を専門に研究をしてます。この分野を専門としたきっかけは、競技力向上や特に難しい技の習得に興味があり、「運動と脳」の関係を専門とする研究室にて学ぶことを決意した背景があります。卒業研究では、「運動学習に伴う脳活動の変化について」研究し、その後研究を進めていく中で、「軽運動が認知機能に与える効果(軽い運動で頭が良くなるか?)」というテーマで研究を進めてきました。

選手時代は、痩せやすい体質から練習量が多くなる時や長時間の移動(往復4時間かけて週3回トレーニングに通っていたことも。)による疲れの影響ですぐに体重が必要以上に減ってしまいました。急激かつ大きな体重変化は競技にも影響を与えるので体重が減少しないように食生活に気を付ける必要がありました。

エアロビック競技は、自分の体重でジャンプをしたり、体を持ち上げて支えたりするので、そういった体力が必要でありながら体重は軽い方が良いです。体を支える為に上半身の筋肉が必要であるものの、筋肉が付きすぎると体が重くなり、跳べなくなることもあるので、増やしすぎないバランスが大切です。例えば、諏訪部先生の場合、努めて1日3食でご飯を沢山食べることや、トレーニング前後の補食におにぎりを持参していました。幼少期から大学院生時代まで選手生活を続ける中で環境の変化もあり、一人暮らし、海外生活を経験しました。時期や環境によって気を付けていた内容は多少異なりました。ちなみに学生時代は学校の授業、アルバイト、エアロビックの練習、子どもたちへのエアロビック指導を同時に取り組む生活をしていました。

子どもにエアロビック指導をする諏訪部先生

 

特に多忙な生活の中では、実際に食に対して時間やお金をかけることはできませんでした。「ご飯を積極的に摂る」ことについては忘れず努めた記憶があるものの、健康や競技のためにもう少しバランスの良いものを食べた方が良いと、何となく思っていましたが、現役当時、そこまで自分の体をデザインすることや考えて食べることを出来ていませんでした。きちんと管理をして、身体のことを考えて取り組めていたら良かったと思います。特に学生は、時間やお金が無ければ、食に関する課題に対処することが難しいと思います。そういったことは、学生アスリートの実態だと思うので、気軽に安くて良いものが食べられるような食堂が学校の近くにいくつかあったらいいと考えます。全ての大学が恵まれた環境にあるとは言い難いので、アスリートにとってすごく大事な問題であると思います。お酒については、次の日が大事な練習や試合の時には控えていましたが、ストイックな管理はしていませんでした。お酒が飲める年齢になって、はじめの頃はどのくらい身体に影響するのか分からなかったので、身体が固くなったり、疲労の面で失敗したりすることもありました。自分の体とパフォーマンスのことを経験的に分かるようになって、重要な練習などがある時にお酒を控えていました。

世界大会にも出場しましたが特に印象に残っている大会は、2つあります。1つ目は、2012年の引退を公言して臨んだ世界大会です。日本で開催されました。私は、本番に弱いタイプで、それまでの試合で納得のいく演技ができていない中臨んだ試合でした。出場時に足に怪我を抱えた状態でしたが、精神的に充実した状態で臨むことができたので、本番の演技でもベストパフォーマンスを発揮できました。観客と一体となれた感覚がありました。もう一つ印象に残っている大会は、2011年3月にフランスで行われた大会です。2011年3月に起きた東日本大震災の時、わたしはフランスに競技留学していました。日本の震災のニュースはフランスでも連日報じられていて、多くの人が励ましの声をかけてくれました。大会では、演技が終わるとすぐに退場して次の人の演技が始まるのが普通なのですが、その日は演技後にステージに残るように言われ、日本や私の家族の状況を伝えるアナウンスがありました。そして、観客全員が立ち上がって日本にエールを送ってくれました。国を超えて人の温かさを感じることができるスポーツの力を感じた経験でした。ちなみに留学中の食事について、私は和食でなくても対応出来るので、海外でも食で苦労することはありませんでした。ですが、「味噌汁」は飲みたくなるソウルフードでした。海外へ行く時には、インスタントの味噌汁を持って行っていたほどです。単に栄養価が高い低いだけでなく、頑張れるソウルフードが先生のご活躍を支えたのかもしれません。インスタントを活用できたことは便利で嬉しかったです。

(茨城県エアロビック連盟Facebookより転載)

インタビュー後記:

諏訪部先生のインタビューで印象に残ったのは、食に気を遣わなかったと言いつつ、環境が移り行く中でも多忙極まる学生生活の様子の中でも体重の急減を防ぐために、努めて1日3食でご飯を沢山食べることや、トレーニング前後の補食におにぎりを持参するなど、意識していたことです。アスリートとしてすばらしい心がけだと思います。先生の行っていたエアロビック競技は、エネルギー量消費が非常に多いので3食の食事を摂るだけでも必要エネルギー量を補給できません。努めて補食を食べる姿勢は見習いたいですね。特に先生の「環境が移り変わる中でできることを実践する」というアスリートの食に対する無理しない姿勢はぜひ学生アスリートのみなさんに参考にしてほしいと感じました。


記事一覧へ