“RKU人”をつくる食

流通経済大学の教職員や学生・アスリートの
食生活、食エピソードをお伝えします。

“RKU人”をつくる食

陸上生活10年間を振り返って~投擲のための食生活と体格、パフォーマンス~ 2021.12.01

ベンチプレスは4か月で+10kg!

本学陸上部に所属する学生がご自身の経験を振り返って食生活と競技力向上について一体験談をまとめてくれました。


私は、中学生の時に陸上競技の砲丸投げを始めた。

この競技に取り組み始める前である小学生の時に水泳を続けていた背景がある。中学校に入学すると部活動選択の際に水泳部を志望した。しかし、進学先に水泳部がなかったため、別の選択を迫られた。そこで水泳でもっと強くなりたいと思い、体力をつけるために陸上競技を仕方なく選んだのが始まりである。

その中でも砲丸投げという投擲種目の一つに出会うことになった。砲丸投げを始めたきっかけは、小学生の時に男の子と腕相撲をした際に全員に勝ったことで力に自信がついたことからである。陸上部に入部した後も水泳教室へは通っており、両者に取り組んできた。だが、一年後、中学校の部活として取り組む陸上競技にのめり込み、それまで続けていた水泳を極める道を途絶えた。その当時の自身の気持ちを振り返ると陸上にのめり込んだ理由には陸上競技の砲丸投げという競技に魅力や楽しさまたは、悔しさを感じたことである。

中学校3年間の砲丸投げに取り組む中で1年生の時に経験した疲労骨折や競技生活で感じた悔しい思いを抱いた。そうしていくことであらたな目標ができた。その目標とは、東海地方大会出場である。目標を達成するためにその当時、自身に足りなかったのは砲丸投げという競技についての基本的な知識である。競技力を高めるためにこの知識は絶対的に必要であったが、中学3年の引退するその日までにその目標は達成できなかった。根本的に私の性格は負けず嫌いであり、目標は達成しなかった悔しさから高校へ進学してもまだ続けたいと決意した。

そして、私は高校でも砲丸投げを続けることになった。

高校では、顧問から全体にパフォーマンスを向上させるために2つのルールが設けられた。一つ目は「菓子・菓子パン・飴 禁止」というルールである。実際に始めたのは高校2年生の時である。振り返れば、この顧問のルールづくりの背景にはアスリートとしての体づくりを意識した食生活の改善の必要性を教育してくれていたのかと感謝している。

実際に高校時点でのこのルールは現在まで遵守しており、現在まで菓子嗜好品を控える食生活は続いている。このルールも一部貢献してくれたおかげで、現役時代は競技に合った体づくりができていた。

二つ目に陸上の投擲部門では、ウエイトトレーニング後に毎回プロテインを30分以内に飲むようにと指示されていた。スポーツ栄養学でも学んだプロテインの摂取はトレーニング後30分以内が良いとされている=筋合成のゴールデンタイム。

この2つのルールは今でも活用するものであり、単に好きだった砲丸投げを「極める」道にすすめたきっかけになったかもしれないと今では思う。

結局、高校3年間でも中学時代に掲げた東海地方大会出場という目標が達成できず、そのリベンジをしたくて大学進学後も砲丸投げ競技を続けることを決意した。

流通経済大学に進学を決意した理由は、まだ砲丸投げを続けたいと思ったからである。また、保健体育教師になりたいという夢を叶えるためである。

大学に進学すると、寮暮らしということもあり、食生活に興味を持ち始めた。競技力向上のためにも体を大きく増量していくための方法について、先輩に相談したり、独自に自分自身に合う方法を調べて実践したりした。

ちなみに高校でも実践していたプロテイン摂取は高強度のウエイトトレーニングを実施した際に実践していたが、感覚的に疲労回復や筋力アップのためということで飲む習慣は続けていた。大学での部活動は取り組む時間が遅く、平日の練習では、夜9時まで練習を実施していたので食生活に工夫が必要であった。授業のない土曜日の練習では、実践練習よりもウエイトトレーニングが先にある際はトレーニング後に捕食としてプロテインを飲んだ後に、しっかりとお昼を食べることを心掛けていた。そして、つかの間の休息後に投げの実践練習に入るというルーティーンであった。

一方、練習時間について変則的でお昼前に練習時間が終了する場合に限っては、練習終了後にお昼ご飯を摂取するとともにプロテインの時間は変更する工夫をしていた。

つまり、振り返れば大学生活にて私は自分の意志で食事トレーニングを始めていた。

自分の周りにいる投擲の競技力が高い選手は、体が大きいことが必須の要件である。一方、私は身長が小さい点が短所である。これは、競技力を高める上で不利かもしれない。身長は好きに伸ばすことはできないが、だからこそ自身にとってベストパフォーマンスを出すための体重増加、体を大きくすることはできるんだと、食事トレーニングに力をいれることに決めた。

しかし、実践面での課題は、自分に無理をして行ってもしょうがないと考えた。いきなり全ての食事量を増やしても体に負担をかけ、消化できない量であれば体調を崩し、体づくりをするうえで意味がない。さらに、続けられないことは体づくりをするうえで最も意味がない。だから、もっとも取り組みやすい方法で第一歩を踏み出した。真っ先に取り組んだのは食事で食べるお米の量を多くしたことである。それまで使っていたお茶碗の大きさを大きくするなどして食器の変化で徐々に食べる量を増やしていった。食事トレーニングを始める前までのお米の量は360g程度であったが、最大720g程度を摂取していた。決意したのは、まずは、お米の量なのでおかずの量や品数は変えなかった。また、簡便にできる取り組みとして飲み物をお水やお茶ではなくプロテインに変えた。食べ終わるのに30分~40分かかっていた。

このように食事トレーニングで食べる米の量を増やしたこと、プロテイン摂取を意識したこと、菓子嗜好品をとらないようにした3つの取り組みだけの効果が、ウエイトトレーニングや砲丸投げの記録にも出た変化は自身でうれしい変化であった。取り組みで体重は7㎏増加した。ウエイトトレーニングでは、ベンチプレス1RMが75㎏から85㎏に上がった。試合では、ベスト記録が食事トレーニング前には10m04㎝であったのが、実践後4か月での記録で11m27㎝へ伸びたりとした。この経験で私は、食事がスポーツパフォーマンスに関係あることを改めて自身の体で実感した。他の選手に比べて身長が小さくても自分の記録を伸ばすという目標については、努力で達成できることを体感したよい経験であったと感じている。

今現在私は大学4年生である。学生生活も残りわずかであるだけでなく、部活は引退し、社会人になる準備として「女性磨き」をしている。体重を増やすことは、競技力のために実践していたことなので今はしていない。ちなみに今の食べるお米の量は290gである。食事トレーニングに取り組み始めたのが少し遅く、実質1年弱しか、その効果を経験することができなかったので、早くから始めていればさらに記録を伸ばすことができたかもしれないと少し後悔もある。

私は、体育教師になることが夢である。単に技術を指導するだけでなく、健康づくりや食事による体づくりの大切さ、それが運動パフォーマンスにも影響することを教えられる教師になりたい。今、私が経験した後悔は決して無駄ではなく、多くの生徒や後輩に実践してもらえる経験を伝え、指導者として活かせるとポジティブにとらえている。


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